1996 年 25 巻 1 号 p. 6-13
葉巻モザイクを示す野生あるいは植栽のノシバ (Zoysia japonica) およびコウライシバ (Z.matrella) が1都2府9県で認められ, これらが本邦に広く分布することが知られた。本症は病徴よりウイルス性と思われたが, 通常行われる手法ではウイルスは検出されず, 他の病原の関与が推定された。そこで, 病原をさらに詳細に検討したところ, 病株からはすべて長さ200~300μm, 乳白色~半透明, 2対の脚を有するウジムシ状のフシダニ (eriophyid mite) が認められた。本症は, 症状, 発生, 伝搬試験, 顕微鏡観察, 薬剤治症などから, このフシダニが起因するものと思われた。本フシダニ (シバハマキフシダニ) はアメリカ合衆国で日本および韓国から導入されたZoysia類で記載されたAceria zoysia (Baker, Kono and O'Neill) (=Eriophyes zoysiaeBaker, Kono and O'Neill) と同定された。本症をシバ葉巻モザイク病 (zoysia leaf curl mosaic) と称することを提案した。