抄録
食酢にキトサン分解物とアルファルファ緑葉抽出物を補添し, 土壌改良材として施用したところ, コウライシバの生育促進効果および以下のようにコウライシバ葉腐病 (ラージパッチ) 発生低減効果がみられた。
土壌改良材施用区は無処理区に対し, 根の生育促進効果が認められ, 春期の芽出しが早まった。土壌中の有用微生物と思われるキチナーゼ生産細菌・放線菌および蛍光性pseudomonadsの菌数は, 土壌改良材施用区で多かったがRhizoctonia属菌の密度は低く抑えられ, 病害の発生が抑制された。本材の施用濃度では, 罹病部から分離されたR.solani [AG-2-2, IV] の菌糸生育を阻害することはなかった。したがって, 土壌改良材の効果は病原菌に対する直接的作用ではなく, 本材施用により土壌微生物相の改善がなされ, その結果としての2次的な抑制効果であると考えられた。