芝草研究
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市販の微生物資材を利用したダラースボット病の生物防除 (1) , 防除効果の室外, 圃場検定
久能 均井上 恵美中野 洋美小林 一成
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1997 年 25 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

芝草病害防除に有効な微生物資材の効果に影響を及ぼす要因の解析の一環として, ダラースポット病に対する3種の市販微生物資材 [オーレスG, アクティブソイラー, SSボーン (以下, それぞれOG, AS, SSと略記) ] の防除効果を検討した。人工接種による室外試験 (造成した砂地に植栽したベントグラスを対象) , 圃場試験 (ゴルフ場植栽ペントグラスを対象) および自然発生症状に対する圃場試験を行なった。
いずれの資材もシバ茎葉部への散布によって処理した。人工接種試験ではいずれの資材にも症状抑制, 治療, 予防効果が認められたが, 自然発生症状に対する圃場試験では各資材の治療効果は季節的に変動することが明らかになった。OGは比較的速効性の治療効果を示すが, 持続性は短いようであった。AS, SSは遅効性であるが, 治療効果とその持続性に優れていた。人工接種による室外および圃場試験の結果から, いずれの資材にも予防効果があると判断されたが, 症状が進展して病原菌密度が高くなると, 徐々にその効果が低下するようであった。人工接種試験では各効果が比較的明瞭に把握できたが, 自然発生症状に対する圃場試験では効果の振れが現れた。この結果は, 生物的要因が強い微生物資材の場合には, 圃場で自然発生している症状を対象にしないと実用的な効果判定ができないことを示唆している。

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