芝草研究
Online ISSN : 1884-4022
Print ISSN : 0285-8800
ISSN-L : 0285-8800
日本芝葉腐病 (ラージパッチ) 症状進展に及ぼす光および芝刈り高の影響
伯野 史明久能 均山田 明椿 藤雄
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 28 巻 2 号 p. 112-118

詳細
抄録

ゴルフ場で発生する日本芝葉腐病 (ラージパッチ) の症状進展に及ぼす刈り高と光照射の影響を検討した。フェアウェイに発生したラージパッチ症状部に高刈り区 (刈り高約18mm) と低刈り区 (刈り高約8mm) を設定した。両区からの病原菌の分離率はともに70-80%であったが, 2週間目の症状部面積率は低刈り区で低下した。低刈り区では症状部中心部からの回復が顕著であった。ガラス室に植栽したコウライシバ地にも低刈り区 (草丈約25mm) , 中刈り区 (草丈約35mm) , 高刈り区 (草丈約45mm) を設定し, 病原菌を人工的に接種するとともに各刈り高区に夜間1時間だけ光を照射する区を設けた。接種後4週間観察したところ, 2週間目では各区の症状部進展率に差はなかったが, 4週間目では草丈が低く, 光を照射した区で症状進展は最も少なかった。シバ個体の部位別に走査電子顕微鏡で観察したところ, 病原菌の菌糸は光が届きにくい葉鞘と葉鞘の間で生育し, 感染クッションを形成することが明らかになった。本病原菌の菌糸生育と感染クッション形成は光によって抑制されるという報告があるので, シバを低刈りすると地際部まで光が届き、病原菌生育が抑制されて症状進展の抑制につながると推定された。

著者関連情報
© 日本芝草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top