2000 年 29 巻 1 号 p. 5-10
クリーピングベントグラスの品種‘チバグリーンB-1’の形質転換系の確立を日的に, パーティクルガン法によりビアラホス耐性遺伝子 (bar) と, β―グルクロニダーゼ遺伝子 (gus) または全面改変した殺虫タンパク遺伝子 (cry IA (c) FM) のco-transformationを試みた。
生長点より誘導したサスペンジョン培養物を標的細胞として遺伝子導入を行い, ビアラホスを添加した選抜培地で耐性カルスを選抜し, 16系統の再分化個体を得た。
PCRおよびPCR―サザン法による解析の結果, 獲得された再分化個体はすべてbar遺伝子が導入された形質転換体であることが確認された。また, 幾つかの系統においてbar遺伝子と同時にgus遺伝子, またはcryIA (c) FM遺伝子が同時に導入されていた。
形質転換体における0.5% (vol/vol) 除草剤ハービー液剤散布後2日目の葉内アンモニアの蓄積量は, 非形質転換体と比較して著しく低く抑えられており, 散布後10日目に非形質転換体は完全に枯死したのに対し, 形質転換体はすべて生き残り, 導入されたbar遺伝子が正常に発現していることが推察された。