芝草研究
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根圏砂層の厚さを変えた床構造と造成年数がクリーピングベントグラスのグリーンの透水性および関連特性に及ぼす影響
真行寺 孝加藤 正広
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2004 年 32 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

クリーピングベントグラス (Agrostis palustris Huds.) グリーンの特性は, 砂土による床十の構造仕様の影響を大きく受ける。本研究では, 根圏砂層 (以下砂層) の厚さおよび造成年数がグリーンの透水性やその他の特性に及ぼす影響を検討した。1994年に千葉県農業総合研究センターにおいて, ライシメータ (2m×2m×深さ0.9m) の下層に砂利および暗渠管を配置し, 上層の砂の厚さを4段階 (15cm, 30cm, 45cm, 60cm) に設定した試験グリーンを造成した。本圃にベントグラスを張り芝した後, 刈高5mmで週3回の刈り込みを行い, 殺菌剤を使用しない管理条件下でグリーンの諸特性を比較した。その結果, 造成1年後の透水性は, 15cm区 (156mrn/hr) <30cm区 (310mm/hr) <45cm区 (642mm/hr) ≦60cm区 (694mrn/hr) の順で, 砂層が薄いほど透水性が低かった。さらに, これらの透水性は経年的に低下し, 造成7年後 (2001年) には, 造成1年後に比べて, それぞれ7% (15cm区) , 14% (30cm区) , 30% (45cm区) , 59% (60cm区) にまで低下した。砂層の厚さがその他のグリーン特性に及ぼす影響については, (i) サッチ層は概ね砂層が薄いほど発達する傾向を示した。 (ii) グリーンの表面硬度は15cm区が有意に低く, 他の区では差がなかった。 (iii) ギンゴケ (Bryum argenteumHedw.) の発生は, 30cm区で少なく, 15cm区および60cm区で多かった。 (iv) グリーンの目視品質は30cm区が優れ, 15cm区で劣った。以上の結果より, サンドグリーンの造成に際しては, 使用する砂土の特性のみならず砂層の厚さも検討すべき重要な要素であり, 30cmから45cmが望ましいと判断された。

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