芝草研究
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コウライシバヘの接種試験について
田浜 康夫
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1977 年 6 巻 2 号 p. 145-151

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抄録

中国・九州の12ゴルフ場のコウライシバから分離した九つの菌を使用して, コウライシバへの接種試験を行った結果, 次のことが判明した。
1) 胞子懸濁液中における有傷接種を行ったところ, Curvularia lunata (Wakker) Boedijn, Trichoderma sp., Phomasp., Fusariumsp.およびTrichoderma viridePers. ex Fr.の5菌が感染による病斑を形成したが, Curvularia verruciformisAgarwall et SahniおよびPenicillium purpurogenumStoll var.rubri-sclerotiumThomの2菌は感染しなかった。なお, 接極一カ月後においても病斑はさほど拡大しなかった。
2) 米ヌカ・フスマ培地の培養菌をシバの土際に敷き, 有傷で6月に接種を行ったところ, Curvularia verrueiformisAgarwall et Sahni, Cnrvularia lunata (Wakker) Boedijn, Penicillium purpurogenumStoll var.rubri-sclerotiumThom, Trichodermasp., Phoma sp., Fusariumsp., Pithomyces maydicus (Sacc.) M.B. EllisおよびTrichoderma viridePers.ex Fr.の8菌が接種した一部の個体に感染性を示した。Fusarium oxysporumSheld. emend Snyder et Hansenは感染しなかった。
3) 米ヌカ・フスマ培地の培養菌をシバの土際に敷き, 有傷で2月に接種を行ったところ, Fusarium oxysporumSheld. emend Snyder et Hansen, Curvularia verruciformisAgarwall et Sahni, Penicillium purpurogenumStoll var.rubrisclerotiumThom, Phomasp., Fusariumsp., Pithomyces maydacus (Sacc.) M.B. EllisおよびTrichodeyma viride Pers. ex Fr.の実験に供した8種のすべての菌に, またすべての接種個体に病徴が発現し, その症状も激しかった。
4) 米ヌカ・フスマ培地における培養菌のコウライシバに対する有傷による接種は極めて有効であり, さらにまた接種時期において, その感染性に差異のあることが判明した。

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