芝草研究
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ゴルフ場芝害虫防除剤の土壌浸透についての研究 (本報)
三嶋 公明杉山 日出男
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1980 年 9 巻 2 号 p. 149-153

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抄録
芝生土壌害虫防除には殺虫剤を土壌中へ浸み込ませる事が重要であるが, 殺虫剤だけでは高濃度で多水量散布を行っても2cm以下へは殺虫剤成分は浸み込まない。そこで各種界面活性剤の中から, より優れた土壌浸透剤の検討を目的として幾つかの試験を行った。
(1) スミチオン1000倍溶液に界面活性剤を1%の濃度で加えた時はTSG―79AGが858で最も優れており続いてWIの377でTSG-1399を除いてどれも無添加よりも浸透量の増加が見られた。0.2%の時は増加率は小さくなったがTSG-79AG, 1400, 1402が約2倍量に増加した。
(2) スミチオン500倍溶液に界面活性剤を0.5%濃度で加えた時はTSG―79AGは1334, TSG―1402は1264で全ての界面活性剤で浸透量は増加した。
(3) チビサクラコガネ3令幼虫をB層土壌で飼育すると10日後の死亡率は無添加では14.3%であったが, TSG1402区は93.3%, TSG-79AG区は90.0%と増加しており界面活性剤添加の効果がみられた。
(4) チビサクラコガネ3令幼虫をスミチオンの各濃度段階の砂土で飼育を行い10日後の死亡率を見ると0.6ppm以上の濃度で100%, 0.1ppmでは12.5%であった。
(5) 各種界面活性剤の布地への浸透性 (ぬれ) と表面張力測定を行ったところTSG―7606が最高であったが, この薬剤は土壌浸透効果は劣っていた。反対に土壌浸透効果の高かったTSG―1402は布地への浸透は劣っていた。植物浸透と土壌浸透とは関係がないように思われる。
(6) 薬剤散布後24, 48, 72時間にB層土壌を定量すると水の移動と共に薬量の増加が見られたが, TSG79AG, TSG80Gの両添加とも無添加に比べて大きな増加がみられた。
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