抄録
本研究は,造形遊びをする活動の事例の考察を通して,造形行為という志向的体験により現象する「生」に着目することで明らかとなる造形行為のもつ人間形成の機能にアプローチする。本研究では,造形行為という志向的体験の中に生成される意識の志向性に着目し,①造形行為に現れる子どもの志向性の生成過程,②〈知-意味〉の生成としての自己更新,③造形行為を視ることで見えなくなる子どもの「生」(志向的体験の流動性や動態性や意識)の「隠れ」,④〈知-意味〉を生成する造形行為の媒体性の位置づけを明らかにし,造形行為による〈知-意味〉の生成の根源的な自己更新の機能を明らかにすることを目的とする。造形行為という志向的体験がもつ意識の志向性は自己の中に〈知-意味〉を連続的に生成することで自己を更新し,この連続こそが造形行為の志向性や媒体性の機能による人間形成といえよう。