美術教育学研究
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幼児期の子どもの造形表現行為と保育の場に関する研究
―4,5歳児を対象としたパイプを使用した題材から―
村田 透
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2016 年 48 巻 1 号 p. 385-392

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抄録

本稿の目的は,保育の場における子どもの造形表現行為の「事象そのもの」を明らかにすることである。そのために筆者は,幼稚園でパイプを使用した題材を実践した。そして子どもの様子をビデオやカメラに記録して,子どもの表現行為を分析・考察した。明らかになったことの1つ目として,造形表現行為を通して,子どもは身の周りの環境にかかわり,材料や出来事の固有の意味をつくり,自分のアイデンティティをつくるということである。明らかになったことの2つ目として,子どもの造形表現行為は,重要な他者(保育者)との関係の次元と,外界(ヒト・モノ・コト)との関係の次元と,社会文化環境との関係の次元が相互に規定する関係性によって成り立つ。保育の場における造形表現活動は,この3つの次元の関係性を背景にして,子どもの〈自分の心〉をはぐくむ場となっている。

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© 2016 大学美術教育学会
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