2018 年 50 巻 1 号 p. 129-136
本研究では,大学生に焦点を当て,芸術祭にどのような関わり方をしているのか,参加の仕方に関する調査を行なった後,事例として中之条ビエンナーレでの広報・宣伝活動の報告をする。具体的な大学生の芸術祭への関わりは,1.作品制作・展示,2.ボランティア・サポーター,3.ワークショップ,4.広報・宣伝に分類できる。主に美術系大学は1.作品展示に重点を置いている。しかし,美術教育やアートマネジメントを学ぶ学生にとっては,4.広報・宣伝の活動が効果的であるとされた。その理由は,広報・宣伝活動を通して,芸術祭の場において主体的に地域や作家,運営側と関わることでその仕組みを理解し,情報という形で対外的な場へ伝える活動が,作品と人を緩やかにつなぎ,他者に芸術祭の魅力を伝えることになるためである。このことは,大学生ならではの関わりが可能になると共に,芸術祭の一端を担う存在にもなる。