美術教育学研究
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レンブラント「夜警(1642年)」の鑑賞題材化(7段階鑑賞学習プログラム)の試みI
―集団肖像画の読解的鑑賞の一局面(観察・記述と自由解釈を中心に)―
岡田 匡史
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2018 年 50 巻 1 号 p. 121-128

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抄録

本稿は連稿前篇である。絵を見て読む,その複合的学習過程で感性・読解力・言語活用能力・美的批評眼等を総合的に養うことを狙う「読解的鑑賞」と,日本の中学生の西洋絵画(異文化体験的対象)との邂逅を契機に促そうと努める,「美術を通した西洋理解」の2つを,本稿の基柱と考える。バロック期からレンブラント「夜警(1642年)」を選定し,その鑑賞題材化の諸可能性を検討した。作品調査で収集した情報を土台に,さらには神林恒道の「夜警」鑑賞手引き,堀典子が社会的・歴史的観点から「夜警」解読に迫る鑑賞授業実践報告も参照し,鑑賞題材構想を具体化した。結果的にE. B.フェルドマンの4段階批評法を基盤に7段階・15項目で成る鑑賞学習プログラムを組織でき,本稿ではその第1段階「観察」と第3段階「解釈」を巡り論述した。残る第2段階と第4段階以降の考察は後篇に回し,最終段階で示した補充課題5個も次稿で詳述したい。

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© 2018 大学美術教育学会
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