美術教育学研究
Online ISSN : 2189-3586
Print ISSN : 2433-2038
ISSN-L : 2433-2038
サイト・スペシフィックな立体造形ワークショップの成果と課題
―キッズ・ミート・アートの実践を通して―
村上 佑介
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 50 巻 1 号 p. 345-352

詳細
抄録

本稿はサイト・スペシフィックという概念をキーワードに,筆者自身が立体造形ワークショップを実施し,その成果や課題について考察するものである。筆者は,2016年,2017年に大阪市で行われたアートイベント「キッズ・ミート・アート」において,粘土と木を使ったワークショップを行い,それぞれの参加者を対象としたアンケートを実施,考察した。その結果,参加者が作品と場との繋がりを,モチーフや素材といった造形要素を通して感じていることや,素材の採集,制作,展示を行う一連のプロセスが,場というものを身近に感じさせ,芸術が日常からの延長上で行われる行為であるという認識を促していることが分かった。企画者の想定した結果に収まってしまうという問題を孕んでいるものの,サイト・スペシフィックな立体造形ワークショップは,芸術と日常との溝を埋め,芸術と人とを繋ぐことが期待できる。

著者関連情報
© 2018 大学美術教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top