2018 年 50 巻 1 号 p. 353-360
2019年のバウハウス創立100周年を目前にして,バウハウス研究において筆者がこれまで継続してきたバウハウス神話を「脱神話化」するための歴史的考察と,バウハウスの「諸芸術の統合」及び「芸術と技術の融合」という芸術的理念を今日に引き継ぐ事例研究として取り組んだ筆者の映像メディア表現の実践を再確認するとともに,現代にまで有効なバウハウスの理念を再考し,バウハウス研究を基礎とする今後の実践的展開を示した。バウハウスに学び,未来を見据え,新しい展望によって造形における提案や解決を行う姿勢を「ニューヴィジョン」と設定し,昨今の「望ましい未来」を提案する「スペキュラティブ・デザイン」などに同様の姿勢をみた。その実践として著者が学生とともに参画し,成果を残した「岩手発・超人スポーツプロジェクト」を紹介するとともに,このテーマで思索するための「ペラコン課題」を教材化の事例として提案した。