2020 年 52 巻 1 号 p. 353-360
本稿では,第二次大戦後の図画工作・美術科の学習評価の観点に着目し,教科の目標及び評価の観点から発想・構想力の位置付けを明らかにする。そのため,その系譜の年代を4段階に区分し,「発想・構想力」の登場と位置付けを整理・検討した。その結果,発想・構想力の登場と格上げについて,次の視点が明らかとなった。1)困難や課題に満ちた現代社会にあって,知識・技能をどう活用するかが重視されてきたこと。2)教科領域の内容の知識や技能の獲得・理解のみならず,情意・認知面に重点が移行してきていること。3)評価方法が「集団準拠評価」から「目標準拠評価」へと移行してきたこと。4)形成的評価の普及により,発想・構想過程が重視されてきたこと。