近年,グローバル化社会の中で,国際的に活躍する人材育成のため,自国の伝統や文化についての理解や継承・発展のための教育の在り方が問われている。平成29年には学習指導要領が改訂され,国内の造形・美術教育の在り方を再検討する動きが顕著になっており,造形・美術教育においても伝統や文化の学習の在り方が問われている。本研究の目的は,造形・美術教育における伝統や文化の学習の在り方を探ることである。本稿では,大学生882名を対象に実施した伝統的工芸品に対する意識調査の報告を行う。大学生の伝統的な工芸に対する知識や興味関心等の現状と課題を分析し,造形・美術教育における伝統や文化の学習の在り方の検討に向けて重要となる視点を提示した。その結果,学校教育における学びの重要性や表現と鑑賞を関連させた題材検討の必要性,幅広い分野からの題材設定の重要性の3つの視点が確認できた。