本論は,既に存在するモデルに到達することを目指す「キャッチアップ型創造性」に加え,モデルのない分野を切り拓く「フロントランナー型創造性」を付加した美術教育における創造性モデルの構築を目的としている。創造性の性質について先行研究を基に考察した上で,従来の美術教育における創造性の構造を検討し,フロントランナー型創造性を育むために追加すべき要素を考察した。その結果,従来の美術教育における創造性の語義はフロントランナー型創造性と異なり,特に問題発見に関する検討や,他者と協働してモデルのないものに取り組むことに関する検討が不足していることがわかった。そこで従来の美術教育がもつ「表現」と「知覚習得」が循環する構造に,内的世界で起こる「省察」と「発見」や,川喜田二郎の創造性理論の「創造」と「脱皮変容」の循環を加えることで,美術教育におけるフロントランナー型創造性の構築を試みた。