美術教育学研究
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造形活動における望ましい子どもと保育者の関わり
香月 欣浩
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2022 年 54 巻 1 号 p. 65-72

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抄録

本研究の目的は造形活動における望ましい子どもと保育者の関わりを捉え,活動がどのように展開してくのか暗黙の日常行為や慣行を明らかにすることである。そこで絵の具を使った2つの造形活動を5歳児クラスで行ない,子どもと保育者の視点から観察を行ない,トランスクリプトを作成し分析と考察を行なった。その結果,造形活動における保育者は,主体性を促す場面では子どもたちに必要な指導以外は言葉かけをせず,少し距離を取ってそっと見守っていることや,できるだけ肯定的な表現を子どもに使っていること,子どもの状態を察知し,その時の状況に応じて臨機応変に計画を軌道修正していること。さらに子どもたちは保育者の思いを敏感に感じ取り,活動中の自分の行動を変更・決定していることや自分の驚きや発見,状況を保育者や自分以外の人に伝えたい思いを実行するなどの暗黙の日常行為や慣行を明らかにすることができた。

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© 2022 大学美術教育学会
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