2023 年 55 巻 1 号 p. 1-8
本研究では学校の美術・図画工作科の授業が子ども達にとって「つくりだす喜びを味わう」場となり,「主体的・対話的で深い学び」の機会となるための手がかりとして,子ども達が造形活動に「没頭」する状態に着目し,その要因について筆者が数年前から取り組んでいる地域の産業活動の中で端材や余剰材等を造形素材として用いる造形活動の内容や子ども達の様子をチクセントミハイの「フロー体験」理論より探った。そこで得た子ども達を没頭に導く条件(明確な目標,フィードバック,思考錯誤)を取り入れ,小学校中学年の図画工作の授業題材を開発し実践したところ,子ども達にとって「つくりだす喜びを味わう」楽しさを感じる「主体的・対話的で深い学び」となり,「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力」「学びに向かう力,人間性」など資質・能力の獲得につながったことがアンケートや子ども達の活動の様子より確認出来た。