2023 年 55 巻 1 号 p. 33-40
本稿は,中学校美術科において,地域と連携した陶芸の授業を実践したものである。平成29年告示の学習指導要領では「社会に開かれた教育課程」が示され,学校教育と地域社会との連携の重要性が高まっている。美術教育では工芸の分野において伝統文化や地場産業を扱った題材が,地域社会とのつながりにおいて効果的であると考え,陶芸を愛好する地域の方を外部講師として,中学校3年生を対象にろくろで作るご飯茶碗と板づくりによる大皿の作陶体験を行った。実践の過程では,アート・ワークショップの視点から,生徒と地域の方の相互作用が重要であると考え,双方向的な対話や協同に着目した。実践からは,生徒が地域の方と手と手を触れ合わせながら,双方向的な対話や協同を通して意欲的に作陶をする姿が確認された。感想では,陶芸に対する興味や関心に加え,自分たちの住む地域や伝統文化ついての記述が見られた。