本論は,中学校美術科での授業における感受が,主題生成へ及ぼす影響を生徒の造形行為から考察するものである。そのため,生徒が学校内で風の流れから感じ取ったことを,陶芸用粘土を用いた風鈴制作で表現する授業を実施し,生徒の姿をアンケートの回答及び授業での活動を撮影した動画などから,分析,考察を行った。分析方法は,量的,質的データを収集・分析する混合研究法を用いた。結果として,感受した風や観察対象の様子や印象から主題を生成した【直接的・印象】生徒は,感覚的に作品制作に向かう傾向がある。一方,感受した風を自身の記憶や概念と結びつけて主題を生成した【間接的・概念】生徒は,概念的に作品制作に向かう傾向があることが明らかになった。両群ともに,主題を生成し,繰り返し形を作りかえる傾向はあるが,【直接的・印象】はイメージの模索,【間接的・概念】はイメージの実現に拠ることが考えられた。