植草学園大学研究紀要
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大学における習熟度別少人数クラスの通時的研究(1)
学生の英語力は向上するか
長谷川 修治桑名 俊一北條 洋子
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2019 年 11 巻 p. 29-39

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抄録

本研究の目的は,X大学 1年生の英語力向上を目指した習熟度別少人数クラスの効果を検証することであった。この習熟度別少人数クラスは,2013 年,2014 年,2015 年に,それぞれ約 200 名の学生を上位・中位・下位から成る3レベルに分割して実施された。各クラスの人数は 20 名程度であり,サンプルとして,各レベルからは,毎年,2 クラスずつが抽出された。習熟度別少人数クラスの効果は,4ヶ月の授業を行い,そ の事前・事後に実施した筆記テストおよびリスニングテストの成績を比較して検証した。その結果,筆記テストでは 3 年間に渡り,下位クラスは一貫して英語力の有意な向上を示した。上位・中位・下位を合わせた全クラスでは,年を追うごとに英語力が伸長し,3年目には有意な差となるまで向上した。しかし,リスニングテストでは,3 年間を通じて,レベル分けされたクラスのみならず全クラスでも英語力の有意な向上は 見られなかった。これらの結果により,次に取るべき方策は,文字英語に対応できる英語力の養成と同時にリスニング力の増強であることが明らかとなった。特に,前者は上位・中位クラス対象であり,後者は全クラス対象とするものであった。

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