2019 年 11 巻 p. 17-28
学習スタイルとは学習者の情報処理の仕方であり,それが授業のやり方に適合していれば,学習がうまく行くと考えられている。しかしながら学習スタイルに適合した学習の仕方をしても効果が見られないという研究もある。そこで,効果のある学習と授業への適合の関連を考えてみた。今回は,大学生に中学・高校の英語の授業に対するアンケート調査をすることで,授業の適合感と好感度,効力感との関連性を解明した。その結果,この3 つの感じ方は,共に否定的になる傾向があることが分った。また,情緒表現型は学習スタイルと関連し,緊張型の学生は理解重視,興奮型は活発な表現,ゆとり型は人間味ある理解を中心とする授業を適合していると判断した。英語教育での適合感は,学生の情緒表現型に合わせた授業を行うだけでなく,学生の情緒的経験を変えて学生が授業に合わせられるようにすることでも得られると考えられた。