2019 年 20 巻 p. 77-82
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フランツ・カフカの短編「断食芸人」の終幕で、断食を続ける芸人が、見世物小屋の監督に対し、自らの 生き方は世間からの「感心」に値しないことを吐露するやりとりがある。彼が死に際に残したこの言葉は、 読み手にいくつかの解釈の余地を残しており、その多義性は、「よい/悪い」や「幸福/不幸」などの価値 に関わる倫理的概念について、哲学的な示唆を与えるように思われる。以下では、「断食芸人」の終幕から 読み取れる「感心」の多義性を整理し、この作品が価値や「幸福」に関して示唆することを確認する。
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