抄録
症例は37歳男性.検診での胸部単純X線にて右肺野にコイン様陰影を指摘された.胸部CTにて右V7+10に肺静脈瘤を認めた.この肺静脈瘤は3尖弁機能異常がないにもかかわらず,3年の経過で増大傾向を認めた.我々は静脈瘤内での血栓形成及び破裂予防のためS9+10の区域切除を行った.病理標本では静脈瘤壁の菲薄化とともにヘモジデリンを貪食した白血球が認められた.肺静脈瘤に対する治療方針に関しては議論の余地が残るところである.しかし心疾患の併存しない増大傾向を示す静脈瘤に関しては手術の適応があると考えられる.