持続可能な経済社会を創造するためには、企業の取り組みが不可欠であり、企業は多様なステークホルダーのために価値を創造することが求められている。今日、企業の存在意義は、経済的なものに限定されることはなく、企業の社会的存在意義であるパーパスが改めて問われている。日本企業は、株主以外のステークホルダーの利益を考慮していると評価されることもある。明治維新から1970年代までにおいて、多くの日本企業が国を豊かにすることに貢献することをそのパーパスとしていたからである。今日、すべての企業がSDGsに示されたような社会課題の解決をパーパスとして取り組むことで、持続可能な経済社会を創造できる。一方で、日本企業に限らないが、外部に対して見せかけだけ取り組んで「SDGsウォッシュ」と揶揄されることもある。日本企業におけるコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスへの取り組みが一部で期待されている効果をあげていないのは、見かけだけの取り組みであった可能性がある。企業には、形式的な取り組みではなく、ステークホルダーとの相互作用を認識し、すべてのステークホルダーの価値を実現するように取り組むことが求められている。