総合健診
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日本総合健診医学会 第48回大会
日本総合健診医学会 第48回大会・シンポジウム3 パネルディスカッション 包括的リスク管理と医療連携 脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019年版について
塚本 和久
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2020 年 47 巻 5 号 p. 564-573

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抄録

 わが国の死因の第1位は悪性新生物であるが、その多くが動脈硬化に起因する心疾患(第2位)と脳血管疾患(第4位)による死亡を合わせると悪性新生物のそれに比肩するレベルに達する。また、生活習慣病関連疾病の医療費は国民医療費の1/4を占めている。それゆえ、平均寿命や健康寿命の延伸を図るのみならず、国民医療費対策軽減の観点からも血管病予防は極めて重要である。これらを背景として、2019年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が施行されている。

 さて、疫学研究から多くの脳心血管疾患危険因子が明らかにされ、それに伴い血圧、肥満、糖尿病、脂質異常症などを管理することの重要性が認識され、それぞれの疾患に対する診療・治療ガイドラインが作成・改訂されてきた。一方、これら危険因子を包括的に管理することの重要性もエビデンスとして示され、包括的管理の重要性が提唱されてきた。

 これらを受け、2008年には特定健診による脳心血管疾患の重大なリスクである生活習慣病対策が開始されるとともに、2015年には、「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015」が12の学会と日本医師会により作成され、一般臨床や職域における包括的ガイドラインとして活用されてきた。そして、その後、各学会のガイドラインが改訂されたことや、高齢者人口の増加に伴い高齢者特有の問題も包含した管理チャート策定の必要性が出てきたことより、総合健診医学会も加えた14学会、そして日本医学会連合および日本医師会の合意のもとに「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019」が2019年5月に発行されるに至った。

 本講演(本稿)では、現在までの日本での疫学などに言及するとともに、「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2019」の2015年版からの改訂点も含めた概要をまとめる。

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