都市とその周囲を対象として,都市の景観や土地利用,密度,社会的地位,軍事的な意味を考える人はいつもいた.そういった考察は,教育を受けてきた人,旅行家,都市を管理する立場の人, 都市の安全に責任のある人によって展開されてきた.18 世紀末まで,ほとんどのこのような人々にとって,都市というのは,壁や城塞によって取り囲まれている場所であり,人々が出会う場所であり,その政治的宗教的な役割によって象徴的な場所であった. 観察や考察の豊かな伝統を用いて研究の最も厳格なかたちが19 世紀と20 世紀を通して出現した.その大きな目的は,都市の性格,形態,役割と西洋の国々にその時代に現われた新しい活力の理由を説明することにあった.その研究は,都市の住民や訪問者によって都市がどのように認識されているかを説明することでもあった. 都市についての理論的な考察は,歴史学者,社会学者,経済学者,工学者,芸術家,都市研究者など様々な専門家によって展開されてきた.都市の性格に関心をもつならば,彼らは,場所,距離,地価,建築形態といった空間的なカテゴリーに依拠しなければならなかった.そのことは,地理学と地理学者がいつもその動静に関わっていたということを意味するものであった.