抄録
関東平野に位置する5 箇所の穀物貯蔵低温倉庫でフェロモントラップを用いたコクゾウムシ成虫の捕獲調査を行い,フェロモントラップの有効性を確認するとともにコクゾウムシ成虫の捕獲数の変動を観察した.各倉庫の本庫と下屋にフェロモントラップと粘着トラップを設置し,毎月,新しいものと交換した.なお,このうち3 箇所の倉庫にはベイトトラップも設置した.コクゾウムシ成虫は4 月から12 月に回収したトラップで多く捕獲された.すべての調査地点でほとんどの月で,粘着トラップよりフェロモントラップの方で捕獲数が多かった.また,フェロモントラップでは最大で一つのトラップに427 頭が捕獲できたが,ベイトトラップでは最大で247 頭であった.保管状況の改善により,2 箇所の倉庫では捕獲数は年々減少したが,残りの3 箇所の倉庫ではその傾向は明確ではなかった.