抄録
看護技術が専門職としてあるためには,看護観の表現技術として看護技術を捉えることが第一義であり,特に,その土台作りになる基礎看護技術の教育では,頭づくりを含んだ技の修得方法を身につけることをめざさなければならない。その頭づくりの核をなすものが,看護学的認識である「看護観」である。
この看護観の形成をめざした教育を考えるにあたり,まずは,看護の目的の具現化と,看護実践を振り返る具体的な指標を持つことが必要である。その上で,実際の対象の状況に応じた援助技術になるためには,対象と学生との相互作用を介して行われている看護実践の内実が明らかにされなければならない。教授過程としては,学生に看護実践そのものから相互作用に焦点を当てた教材化の工夫が不可欠であると考える。