抄録
富山大学,救急・災害医学講座では2006年より4年生学生講義の時間を用いて医学部生を対象とした災害訓練を行っている。2008年には化学災害を導入した訓練を行った。訓練には医学部4年生80名が参加した。学生には,医師役,患者役などの役割を付与し事前学習をさせた。災害シナリオは,近隣化学工場において化学物質を搭載したトレーラーの交通事故が発生し,火災,化学物質流出,家屋倒壊が起こったものとした。患者は20名とし,患者役の学生にムラージュを行った。患者の診察は学生医師団が行い,診察内容,検査,治療をトリアージタッグに記入した。各部署や診察室にはチューターを配置し,学生医師団を誘導した。所要時間は,準備に1時間20分,訓練は1時間10分を要した。訓練終了後,学生に対して訓練講評をし,感想文を作成させ,フィードバックを行った。今回の訓練で,学生たちは事前学習を行った後に,実際に災害訓練の体験をすることで,救急処置,災害対応に対する知識,意識を高めることができたと思われる。