抄録
顔面領域に出現する疼痛症状には交感神経系に寄与するものから心身症に起因するものまで,様々な要因が考えられる。末梢あるいは中枢神経系の伝導路になんら異常が認められないにもかかわらず患者が痛みを訴える場合があり,診断・治療に苦慮する場合が少なくない1,2)。
今回,術後から10年以上を経過してもなお疼痛症状を訴え来院された2例に対し,数回のキシロカインによる神経ブロックと,疼痛に関する詳細な病態説明を行った結果,軽快および治癒を認めた。心因的配慮を行うことで長期間のドクター・ショッピング3)を行ってきた難治性疼痛症例において治癒軽快の可能性のあることが示唆された。