「自称進学校」は2010年代に使用が増えたスラングである。意味は定まっていないが、主に話者が所属(出身)高校を「進学校と称しているが、実態は進学校に値しない」と考える際、その学校を蔑む表現である。学校への不満や自虐を表すスラングであったが、近年学習塾関係者が使うようになり、所属に関わらず話者が進学校に値しないとみなした高校を批判する語としても使われている。 教育研究で「進学校」は「進路が大学進学を主とする学校」を指す。しかし、これは現代の多くの高校生が持つ印象と乖離している。1990年代の大学設置基準緩和以降、金銭面等を考慮しなければ高卒者なら誰でも大学進学が可能となり、進学だけではあまり意味を持たなくなった。本語には高校普通科の生徒が持つ認識の変化が表れており、教育学的な観点から考察する意義がある。 本研究は、本語の用例を調査して使用の背後にある教育観を考察する。