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植生学会誌
Vol. 17 (2000) No. 2 p. 81-88

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http://doi.org/10.15031/vegsci.17.81

原著論文

西九州において,ハマボウ群落の分布と生態,特に群落の大きさと生育地の海岸地形について調べた.ハマボウ群落が最も旺盛に生育しており,この地域から約130ヶ所の生育地を確認したが,多くは1-9株の断片的群落あるいは10-49株の小群落であり,50-99株までの中群落は少なく,100株を越す大群落は3ヶ所のみであった.生育地が多いのはこの地域が温暖で,海岸線が複雑なためで,大きな群落が比較的少ないのは,この地域にデルタが発達するような大きな河川がないためと考えられる.生育地の海岸地形は入り江が最も多く,次いで河口(下流も含む),ラグーン,海跡湖,湾岸の順であった.しかし,10株以上の群落は,ラグーンと河口に多く,大群落はラグーンと河口に限られていた.ハマボウ群落の生育立地は,高潮線付近であるが,湾岸に発達したものでは,それよりも高く,また汀線から離れた所であった.これは湾岸が波の影響を受けやすいためである.河口に発達したものでは,ふつう高潮線以下に生育しており,満潮時には根元が水に浸かる.ハマボウの優占群落はハマボウ群集と同定され,種組成と生育立地から典型亜群集とハマゴウ亜群集に区分された.典型亜群集は塩性湿地に生育したハマボウの純群落で,しばしば塩生植物が生育している.この群落は断片的あるいは小群落のみであり,分布も限られていた.ハマボウ群落の生育地としてラグーンと河口が重要であり,群落の大きさを示した分布図は保全対策の資料として役立つものと考えられる.

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