植生学会誌
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17 巻 , 2 号
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原著論文
  • 長岡 総子, 奥田 重俊
    原稿種別: 本文
    2000 年 17 巻 2 号 p. 55-72
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.長野県梓川上流域の上高地に分布するウラジロモミ林について,植物社会学的方法による調査を行った結果,2群落6下位単位が区分された.
      2.調査地の各スタンドの種組成からオーダーの標徴種・識別種を抽出し,上級単位の所属を考察した.さらに既存の資料と常在度表で比較した.その結果,上高地のウラジロモミ林は,一部にコケモモ-トウヒクラスの影響もあるものの,全体的には湿性かつ撹乱要素の強いブナクラスのシオジ-ハルニレオーダーに所属し,ハルニレ型といえる.一方,既存の資料に含まれる八ヶ岳周辺や富士山のウラジロモミ林はササーブナオーダーの標徴種・区分種によって区分されたミズナラ型に属し,上高地とは異質の群落と考えられた.
      3.ウラジロモミ林の植生調査地点で地形,表層砂礫の粒径,礫種などを調べた結果,ウラジロモミ林の成立する地形は河畔流域の砂礫堆積地であった.コメツガ-ウラジロモミ群落は梓川の支流が形成した沖積錐と谷底平野に,ハルニレ-ウラジロモミ群落は梓川本流が形成した氾濫原上に成立していた.
      4.コメツガ-ウラジロモミ群落の下位単位には,堆積地形を構成する砂礫の粒径および礫種,傾斜,撹乱頻度が影響し,特に穂高安山岩類(溶結凝灰岩)の巨礫からなる立地にシラビソ-トウヒオーダーの種を多く含むゴゼンタチバナ下位単位が成立していた.一方,花崗岩のマサ土から成る立地にはコウモリソウ下位単位が成立し,区分種は撹乱地に多く見られる種であった.
      5.上高地には最終氷河期のモレーンや,凍結融解作用によって形成された豊富な砂礫の供給源があり,それらが支流出口や梓川本流に運搬され堆積した地形に,ウラジロモミ優占林が成立していた.
      6.山地帯最上郡の砂礫堆積地形は中部山岳地域・火山地域に偏在して見られ,そのような地域に,適潤地性のブナにかわって生態的生育域の狭い種であるウラジロモミが優占する傾向があり,ウラジロモミ亜帯(大場ほか1979)の存在が考えられる.
  • 西尾 孝佳, 一前 宣正, 候 喜禄, 李 代〓, 黄 瑾
    原稿種別: 本文
    2000 年 17 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.黄土高原におけるニセアカシア(Robinia pseudoacacia)の環境回復への効果を検討するために,現地にニセアカシアを植栽し,22年間禁伐・禁牧した林分(ニセアカシア植林),22年間の禁伐・禁牧による自生のSophora viciifoliaの優占群落(自生群落),ヒツジの放牧地,畑地について,植生およびその立地環境を調査した.
      2.ニセアカシアの植栽は植生および土壌,水土保持力といった立地環境に大きな影響を与えていた.植生への影響では,放牧地に比べ種数,多様性を増し,種組成,バイオマスを大きく変化させた.
      3.自生群落ではバイオマスは増加する傾向であるが,多様性,種組成など植生の質的な要素の変化は小さかった.
      4.ニセアカシア植栽による土壌への影響は,表層部での有機物の集積,含水率の増加が著しかった.同様の変化は自生群落でも確認されたがその幅は小さく,ニセアカシア植栽により土壌の理化学性の変化が加速化された.
      5.水土流出量から推定した水土保持力はニセアカシア植林が自生群落,放牧地,畑に比べて高くなった.
  • 中西 弘樹
    原稿種別: 本文
    2000 年 17 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    西九州において,ハマボウ群落の分布と生態,特に群落の大きさと生育地の海岸地形について調べた.ハマボウ群落が最も旺盛に生育しており,この地域から約130ヶ所の生育地を確認したが,多くは1-9株の断片的群落あるいは10-49株の小群落であり,50-99株までの中群落は少なく,100株を越す大群落は3ヶ所のみであった.生育地が多いのはこの地域が温暖で,海岸線が複雑なためで,大きな群落が比較的少ないのは,この地域にデルタが発達するような大きな河川がないためと考えられる.生育地の海岸地形は入り江が最も多く,次いで河口(下流も含む),ラグーン,海跡湖,湾岸の順であった.しかし,10株以上の群落は,ラグーンと河口に多く,大群落はラグーンと河口に限られていた.ハマボウ群落の生育立地は,高潮線付近であるが,湾岸に発達したものでは,それよりも高く,また汀線から離れた所であった.これは湾岸が波の影響を受けやすいためである.河口に発達したものでは,ふつう高潮線以下に生育しており,満潮時には根元が水に浸かる.ハマボウの優占群落はハマボウ群集と同定され,種組成と生育立地から典型亜群集とハマゴウ亜群集に区分された.典型亜群集は塩性湿地に生育したハマボウの純群落で,しばしば塩生植物が生育している.この群落は断片的あるいは小群落のみであり,分布も限られていた.ハマボウ群落の生育地としてラグーンと河口が重要であり,群落の大きさを示した分布図は保全対策の資料として役立つものと考えられる.
短報
  • 島野 光司
    原稿種別: 本文
    2000 年 17 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    日本海型ブナ林で春先にササ稈が雪で倒伏している現象がブナ実生の生存に有利である可能性を,福島県檜枝岐村の日本海型ブナ林で調査した.雪解け直後の6月と,その影響が無くなる9月にササの稈角度とササ層下の相対照度を測定した.その結果,6月には多くのササ稈が倒伏しており,ササ下の相対照度はばらつき,明るい地点があった.一方9月にはササは一様に立ち上がり,相対照度も全般に低かった.6月の時点でブナの越年実生の分布と照度の関係を見ると,実生の分布する地点は,分布しない地点に比べ有意に相対照度が高かった.6月にササの倒伏している地点とササの立っている地点で光合成有効光量子密度(PPFD)の日変化を追い,同時にブナ実生の光合成を測定し,光-光合成曲線を得た.その結果,ササの倒伏している地点では,ブナの光合成にとって十分なPPFDが長時間続いたのに対し,ササの立っている地点では短かった.こうした結果から,雪をともなう日本海型ブナ林ではササの倒伏のためブナの実生に有利な可能性を指摘した.
  • 津田 智, 安島 美穂
    原稿種別: 本文
    2000 年 17 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2000/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
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