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植生学会誌
Vol. 18 (2001) No. 1 p. 23-29

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http://doi.org/10.15031/vegsci.18.23

原著論文

  1.長野県北東部,雑魚川流域のブナ林において平坦面,斜面それぞれの林分に80m×80mのコドラートを設置し,林分構造を調べ,更新様式を比較した.
  2.林分構造は,亜高木層,草本層の平均植被率が平坦面よりも斜面で高く,第二低木層平均植被率,ササの平均被度は平坦面で高かった.木本種の全基底面積は平坦面で大きかったが,個体数は斜面で多かった.
  3.平坦面のブナの小径木と中径木の間には共存関係がみられ,大径木と小径木及び中径木との間には非共存関係がみられた.斜面ではブナのDBHサイズクラス間での明瞭な共存,非共存関係はみられなかった.平坦面では複数の異なる発達段階からなるモザイク状の再生パターンが明瞭にみられ,斜面ではモザイク状の再生パターンは不明瞭であった.
  4.平坦面ではブナの稚樹,幼樹の本数が少なく,斜面で多かった.
  5.斜面では倒木の本数が多くそのサイズが平坦面よりも小さかったことから,斜面では立地が不安定なためギャップが頻繁に形成されやすいと考えられた.
  6.平坦面では,林床にササが繁茂しているため後継樹が育ちにくく,ササの一斉枯死のような数少ない機会にギャップにおいて更新が行われており,更新が不連続である.斜面ではササの被度が低く,閉鎖林冠下でも後継樹の育ちが良く,頻繁に起こる倒木の直後に林冠をうめることができ,更新が連続的である.

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