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植生学会誌
Vol. 19 (2002) No. 2 p. 95-111

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http://doi.org/10.15031/vegsci.19.95

原著論文

  1.湧水湿地の植生の植生配分を明らかにするため,地下水の流動に着目した.
  2.地下水位は観測井戸を用いて,地下水流動は長さの違う複数のピエゾメーターを併用して調査した.
  3.地下水位の変動は平水期における地下水位の低下に起因していたため,安定して湿潤な環境は平水期に地下水位が高い立地であった.
  4.コシダ-オタルスゲ群落は,種組成の検討と地下水位による群落の序列から湿地植生と斜面植生の推移帯に位置付けられた.
  5.それ以外の湿地植生,すなわちコイヌノハナヒゲまたはオオミズゴケの生育によって特徴付けられる湿地性の群落は,地下水位が豊水期に-20cm以上,平水期に-30cm以上で,これらの変化幅が15cm以下の立地に分布していた.しかし,測定された地下水位は,低茎および中茎草本群落と高木の湿生林で同一レベルだった.
  6.湿地中央域の低茎草本群落では,安定した上向きの地下水流動がみられた.
  7.湿生林は平水期の下向きの動水勾配に対応していた.ただしハンノキ林では豊水期に上向きの流動がみられた.
  8.湿地周辺部の土層では,地下水が特定の部分から内部流出する傾向があった.このため,そこに向けた地下水流動が浸透流を生じさせていた.
  9.湧水湿地では,泥炭の堆積作用が期待できないため,地下水を媒体とした物質の動態が植生配分に影響していると考えられた.

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