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植生学会誌
Vol. 21 (2004) No. 2 p. 65-78

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http://doi.org/10.15031/vegsci.21.65

原著論文

2001年8月,木道設置後10年が経過した大雪山系天人ヶ原湿原において,メッシュ法による植生調査を行い,ラスターGISの手法で現存植生図を作成し,荒廃地の植生回復と植生変化について検討した.2001年と1981/1988年のデータをあわせて258個の植生調査資料を二元指標種分析で解析した結果,池塘と小凹地の植生2タイプ,ローンの植生6タイプ(このうち,3タイプは荒廃地の代償植生),ササ群落2タイプ,高木群落2タイプが識別された.今回作成した植生図と1988年作成の植生図を比較した結果,大面積を占めるヤチカワズスゲ-クロバナギボウシ/タチギボウシ群落は33.8%から30.1%に,また荒廃地の面積は22.4%から19.5%にそれぞれ減少した.湿原植生の73.4%(面積)は変化していなかったが,20.1%に進行遷移が,また6.5%に退行遷移がみられた.変化した面積の68.1%は荒廃地であった.荒廃地では代償植生のミタケスゲ-ヤチカワズスゲ群落が減少し,回復植生の1タイプであるミヤマイヌノハナヒゲ-ウキヤバネゴケ群落が著しく増加した.ササ群落や高木群落にはほとんど変化がなかった.天人ヶ原湿原では木道の設置によって踏みつけによる植生破壊が防止された結果,荒廃地の自然回復が加速されたものと考えられた.

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