植生学会誌
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21 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 馬場 明子, 大野 啓一
    原稿種別: 本文
    2004 年 21 巻 2 号 p. 53-64
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.神奈川県相模川下流域の河川敷に成立する草本植生の群落区分種である草本植物22種について,種子の貯蔵時,発芽時の水分条件を変えて発芽実験を行い,発芽反応と生育場所の水分環境との関係を検討した.
      2.貯蔵時に必要な水分条件は種ごとに多様であり,生育立地との明確な関係は見出せなかった.
      3.乾燥した場所に成立する群落の区分種の種子は,ある程度までの乾燥条件下では発芽可能であるが,湛水条件下では大きく発芽が抑制されることが共通していた.
      4.中庸な立地に成立する群落の区分種の種子は,発芽に必要な水分条件が種によって大きく異なっていた.
      5.湿潤な場所に成立する群落の区分種の種子は,共通して発芽時に多くの水分を必要とした.湛水条件下については,少なくとも浅い場合はどの種も発芽率の低下は見られなかった.
      6.発芽時の反応から判断される発芽に好適な水分条件は,河川敷に分布する植物群落の立地特性とよく一致しており,植物の生育地を説明する要因であることが示唆された.
  • 周 進, 橘 ヒサ子
    原稿種別: 本文
    2004 年 21 巻 2 号 p. 65-78
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    2001年8月,木道設置後10年が経過した大雪山系天人ヶ原湿原において,メッシュ法による植生調査を行い,ラスターGISの手法で現存植生図を作成し,荒廃地の植生回復と植生変化について検討した.2001年と1981/1988年のデータをあわせて258個の植生調査資料を二元指標種分析で解析した結果,池塘と小凹地の植生2タイプ,ローンの植生6タイプ(このうち,3タイプは荒廃地の代償植生),ササ群落2タイプ,高木群落2タイプが識別された.今回作成した植生図と1988年作成の植生図を比較した結果,大面積を占めるヤチカワズスゲ-クロバナギボウシ/タチギボウシ群落は33.8%から30.1%に,また荒廃地の面積は22.4%から19.5%にそれぞれ減少した.湿原植生の73.4%(面積)は変化していなかったが,20.1%に進行遷移が,また6.5%に退行遷移がみられた.変化した面積の68.1%は荒廃地であった.荒廃地では代償植生のミタケスゲ-ヤチカワズスゲ群落が減少し,回復植生の1タイプであるミヤマイヌノハナヒゲ-ウキヤバネゴケ群落が著しく増加した.ササ群落や高木群落にはほとんど変化がなかった.天人ヶ原湿原では木道の設置によって踏みつけによる植生破壊が防止された結果,荒廃地の自然回復が加速されたものと考えられた.
  • 助野 実樹郎
    原稿種別: 本文
    2004 年 21 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1.大雪山北部,小泉岳の高山風衝地において,パッチ状植生の調査と植生パッチにおける環境測定の結果から,イワウメ及び地衣蘇苔類が植生発達に与える影響を検討した.
      2.調査方形区(20m×20m)には計118個の植生パッチが出現し,ほとんどのパッチは優占種にもとづいてイワウメの優占するパッチ,地衣蘇苔類の優占するパッチ,タイセツイワスゲの優占するパッチの3つのパッチタイプに区分された.3.パッチサイズが大きくなるにつれて種数は多くなる傾向があるが,
      3つのパッチタイプで単位面積当たりの種数に有意差はみられなかった.一方,イワウメや地衣蘇苔類の優占するパッチはタイセツイワスゲ優占パッチに比べてパッチサイズが大きく,出現種数も多かった.また単位面積当たりの実生数も多かった.
      4.体積含水率と窒素量は3つのパッチタイプと裸地との間で有意差がみられなかった.積算地温はタイセツイワスゲ優占パッチや裸地に比べてイワウメや地衣蘇苔類の優占するパッチで30-60℃程度高い.またC/N比はイワウメ優占パッチで最も高かった.
      5.高山風衝地ではクッション植物イワウメや地衣蘇苔類のマット状植被が他の維管束植物に侵入・定着場所を提供しており,植生発達に貢献していると考えられる.またイワウメや地衣蘇苔類のマット状植被は積算地温の増大や土壌への有機物供給という面で立地環境を改変していることがわかり,植物の成長に好適な立地環境を提供していると考えられた.
  • 冨士田 裕子
    原稿種別: 本文
    2004 年 21 巻 2 号 p. 89-101
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    1.北海道釧路湿原の自然河川温根内川,改修河川久著呂川流域の湿地林および湿生草本群落で,毎木調査と林床植物の現存量調査を行った.また湿地林では試験木から円板を採取し,年輪解析を行い樹高生長曲線を求めた.2.温根内のスタンドはハンノキのみで占められ,湿原中央部(河川下流)に向かうほど,ハンノキの株数は減少するが,萌芽を出す個体の割合は増加していた.3.久著呂川では,上流部のスタンドはハンノキのほかヤチダモが多く混じり,湿原中央部(河川下流)の林分ほど株数が減少し,胸高以上のサイズの萌芽を出す個体の割合は減少した.4.毎木調査結果から求めた現存量の推定値は,両河川とも下流の林分ほど小さかった.5.林床植物の組成は久著呂の下流部と温根内の各スタンドでは湿生草本で構成されていたが,久著呂の上流部では高茎草本類が優占していた.6.樹高生長曲線によると,温根内では湿原内部ほど樹高が低く,齢の増加とともに次第に樹高生長が衰える傾向が見られた.一方久著呂では,上流部のスタンドのハンノキ,ヤチダモの樹高は高く,生長の衰えは見られなかったが,下流では樹高生長が齢の増加とともに衰える傾向が見られた.7.年輪幅の解析によると,温根内のハンノキの年輪幅の年次変化には特定の規則性は見られなかった.一方,久著呂では上流部のスタンドのハンノキでは1971-1975年付近の生長が最もよく,ヤチダモでは1975年から年輪生長幅が急に増加に転じた.このような傾向は,対照とした丘陵地のヤチダモでは見られず,1966年から1980年(昭和41年から55年)に行われた久著呂川の河川改修工事と関係が深いと推察された.
短報
資料
  • 黒田 有寿茂, 向井 誠二, 豊原 源太郎
    原稿種別: 本文
    2004 年 21 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2004/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
    We here report the floristic composition and stand structure of Distylium racemosum mixed forests established in Miyajima Island, Hiroshima Prefecture, SW Japan. Our recent vegetation survey throughout the island recognized that the Distylium racemosum mixed forests were partially established in a valley of the south-facing slope of the island. The forests were considered to be remnants, whose persistence could possibly be attributed to the island's cultural history in which nature conservancy was a part of the worship and reverence for the island practiced by its inhabitants since ancient times.
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