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植生学会誌
Vol. 21 (2004) No. 2 p. 89-101

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http://doi.org/10.15031/vegsci.21.89

原著論文

1.北海道釧路湿原の自然河川温根内川,改修河川久著呂川流域の湿地林および湿生草本群落で,毎木調査と林床植物の現存量調査を行った.また湿地林では試験木から円板を採取し,年輪解析を行い樹高生長曲線を求めた.2.温根内のスタンドはハンノキのみで占められ,湿原中央部(河川下流)に向かうほど,ハンノキの株数は減少するが,萌芽を出す個体の割合は増加していた.3.久著呂川では,上流部のスタンドはハンノキのほかヤチダモが多く混じり,湿原中央部(河川下流)の林分ほど株数が減少し,胸高以上のサイズの萌芽を出す個体の割合は減少した.4.毎木調査結果から求めた現存量の推定値は,両河川とも下流の林分ほど小さかった.5.林床植物の組成は久著呂の下流部と温根内の各スタンドでは湿生草本で構成されていたが,久著呂の上流部では高茎草本類が優占していた.6.樹高生長曲線によると,温根内では湿原内部ほど樹高が低く,齢の増加とともに次第に樹高生長が衰える傾向が見られた.一方久著呂では,上流部のスタンドのハンノキ,ヤチダモの樹高は高く,生長の衰えは見られなかったが,下流では樹高生長が齢の増加とともに衰える傾向が見られた.7.年輪幅の解析によると,温根内のハンノキの年輪幅の年次変化には特定の規則性は見られなかった.一方,久著呂では上流部のスタンドのハンノキでは1971-1975年付近の生長が最もよく,ヤチダモでは1975年から年輪生長幅が急に増加に転じた.このような傾向は,対照とした丘陵地のヤチダモでは見られず,1966年から1980年(昭和41年から55年)に行われた久著呂川の河川改修工事と関係が深いと推察された.

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