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植生学会誌
Vol. 22 (2005) No. 2 p. 71-86

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http://doi.org/10.15031/vegsci.22.71

原著論文

九州南東部に位置する宮崎県には,人為干渉の種類や程度が異なる3タイプの照葉樹林が分布している.すなわち,(1)比較的まとまった面積で分布している上に,原生状態あるいはそれに近い状態を維持している照葉樹林(照葉原生林),(2)著しく断片化している上に,不定期で部分的な人為攪乱を被っており,原生状態とはいえない照葉樹林(照葉自然林),(3)薪炭林として利用されていた照葉萌芽林(照葉二次林)の3タイプである.本研究では,これら3タイプの照葉樹林を相互に比較することで,照葉樹林の種組成および種多様性に対する人為攪乱と断片化の影響について検討した.調査対象とした樹林に100m^2の調査区を合計62区設置して,全ての維管束植物を対象とした植生調査を行った.照葉自然林は照葉原生林と照葉二次林の中間的な種組成を有しており,3タイプの間には種組成に明らかな相違が認められた.また,照葉原生林および照葉自然林のDCA第1軸スコアと樹林面積の間には強い有意な相関がみられた.これらのことから,種組成は人為攪乱と断片化の影響を強く受けていることが明らかとなった.照葉原生林と照葉自然林の種組成を比較したところ,照葉自然林では陰湿地を好む種や着生植物が欠落する傾向にあった.このような現象の一因として,エッジ効果による土壌の乾燥や空中湿度の低下が考えられた.種多様性(species richness)の尺度として100m^2あたりの出現種数を算出し,その平均値を森林タイプ間で比較したところ,全出現種と照葉樹林要素の出現種数は照葉原生林,照葉自然林,照葉二次林の順に減少する傾向にあった.これらの出現種数と樹林面積の間には明瞭な対応関係は認められなかったが,照葉原生林や照葉自然林に偏在する種の出現種数と樹林面積の間には正の有意な相関がみられ,樹林の断片化が種多様性に負の影響を与えていることが示唆された.

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