J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

植生学会誌
Vol. 26 (2009) No. 1 p. 1-8

記事言語:

http://doi.org/10.15031/vegsci.26.1

原著論文

尾瀬ヶ原湿原においてヤチヤナギMyrica gale var.tomentosaの分布と微地形の関係を解析した.ヤチヤナギは1970年代に行われた調査以来尾瀬ヶ原での増加が指摘され,それに伴う生態系への影響が危惧される低木である.ヤチヤナギの有無,樹高,微地形の解析には1辺25mのメッシュを用いた.尾瀬ヶ原を構成する3地域(上田代,中田代,下田代)の間ではヤチヤナギの出現頻度は有意に異なった.ヤチヤナギは中田代では全体の71.1%に出現したが,上田代では25.8%,下田代では2.1%のみに出現した.同一の植生単位であってもヤチヤナギの出現頻度は中田代で高く,下田代で最も低い傾向を示した.ヤチヤナギの分布は流域の上流側や河床との比高が大きい場所で欠落する傾向があった.ヤチヤナギの種子は,主に水面を浮上して散布されるため,このような立地では種子供給の機会が低いと考えられる.ヤチヤナギの樹冠高は,河川との比高が小さい平坦地や林縁部で高く,河川や森林からの距離が遠くなると低くなる傾向があった.新たにヤチヤナギが侵入したと考えられる地点はいずれも木道沿いか,木道から近い場所であった.また,木道沿いではヤチヤナギの樹冠高が高くなる傾向があった.木道の敷設による局所的な環境改変が,ヤチヤナギのサイズ増大や分布拡大をもたらしていると考えられる.

Copyright © 2009 植生学会

記事ツール

この記事を共有