2012 年 29 巻 1 号 p. 41-48
北海道低地のスキー場放棄地における樹林化の指標としてのススキ群落.斎藤達也(北海道大学大学院環境科学院)営業中のスキー場上における樹林化の指標として知られるススキ群落がスキー場放棄後においても樹林化の指標として有効かどうかを確認するため,北海道低地の放棄スキー場において群落と木本定着の関係を調査した.シラカンバやカラマツなどの非耐陰性木本種は,光環境が最も良好であったススキ群落によく定着していたが, TWINSPANにより抽出された他の群落型には,ほとんど定着していなかった.ススキ群落内の良好な光環境は,その低い植被率によると考えられた.放棄から5年経過したスキー場上の木本類の樹齢-樹高関係の解析の結果,ススキ群落内の木本類の更新は順調であることが明らかになった.以上より,ススキ群落はスキー場放棄後の樹林化を予測するための指標として有効であることが確認された.