植生学会誌
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短報
モンゴルステップにおける立地評価指数を用いた立地状態評価
川田 清和TSENDEEKHUU TsagaanbandiNARANTUYA Naidan黒須 麻由中村 徹
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2015 年 32 巻 1 号 p. 49-56

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抄録

本研究は,モンゴルの草原の状態を修正立地状態指数(mSQI)により評価することを目的とする.mSQIは出現種の拡張相対優占度(ESn)と指標種のスコア(s-score)を乗算し,それらを総和することにより調査地点の状態を評価する指数である.ESn はすべての調査対象地域または研究期間中に最大優占度を示す種に対する相対優占度である.s-score は種の特性を示した値であり,ESn をオクターブ変換し禁牧区と放牧区の比から算出した.s-score が1 より大きい種は放牧によって減少することを示し,1 より小さい種は放牧によって増加することを意味する.本研究でもこれまでに嗜好性が低いと報告されている種に低いs-scoreが与えられ,mSQI を低下させていた.すなわち,mSQI による評価は,利用価値の低い植物現存量が増えても土地の状態が良くなったと判断する従来の定量的な評価方法とは異なり,現地牧民が期待する利用価値の高い草原を示すことができる種の定性的な特性も加味した新たな評価方法である.

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© 2015 植生学会
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