Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
インド洋中央部の熱水噴出域から採集された腹足類の新種
奥谷 喬司橋本 惇佐々木 猛智
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2004 年 63 巻 1-2 号 p. 1-11

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抄録

インド洋中央部のロドリゲス三重会合点付近の熱水噴出域「かいれいフィールド」から無人探査機「かいこう」及び潜水調査船「しんかい6500」によって採集された腹足類のうち,3新種について記載する。また同時にアルビンガイの近似種も発見された。Bruceiella wareni n. sp.カイレイワタゾコシタダミ(新種)(ワタゾコシタダミ科)殻径2mm前後。殻表は鉄錆様の沈着物に被われ,初生層は激しく腐食している。本属にはこれまで2種しか知られてないが,いずれの種とも歯舌特に中歯の形態において,一致しない。Desbruyeresia marisindica n. sp.チャイロハイカブリニナ(新種)(ハイカブリニナ科)殻高9mm程度。殻は細高く,3列の縦肋が螺肋と交わって顆粒状になる。歯舌の特徴はD. cancellataやD. spinosaに似ているが殻の形態,彫刻が異なる。Alviniconcha aff. hessleri Okutani & Ohta, 1988アルビンガイ近似種(ハイカブリニナ科)殻の特徴および歯舌の特徴はマリアナ背弧海盆から採集されたアルビンガイにほとんど一致する。しかし塩基配列の解析(小島他,本号)によると,この個体群は遺伝的に独立していると思われる。Iphinopsis boucheti n. sp.インドゴロモ(新種)(コロモガイ科)殻高3cmくらい。殻表には等間隔の,角張った螺肋があり,体層では約35条に及ぶ。前管溝は浅い。軸唇の奥部に1襞がある。

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© 2004 日本貝類学会
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