Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
酸素同位体比分析から推定した土佐湾産タマキガイ科二枚貝トドロキガイとタマキガイの殻成長速度と成長パターン
山岡 勇太近藤 康生伊藤 寿恵
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2016 年 74 巻 3-4 号 p. 61-69

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抄録

酸素同位体比分析を用いて,土佐湾産のトドロキガイとタマキガイの成長様式を推定し,両種の比較を行った。トドロキガイとタマキガイは殻形態がよく似ており,過去に同種あるいは地理的な亜種として扱われたことがある。本研究では,土佐湾産のトドロキガイとタマキガイを用いて両種の成長様式を比較することを目的とした。酸素同位体比分析の結果,両種の成長阻害輪の位置が夏季の高水温期に一致していたことが明らかになった。このことから,両種の殻表面に観察される成長障害輪は夏季に形成される年輪であると考えられた。続いて,殻頂から年輪までの長さを年齢ごとの殻高と仮定し,年齢と殻高の関係を考察した。今回確認できた最大殻高は,トドロキガイで43 mm,タマキガイで62 mmであった。また,確認された最大の年齢は,トドロキガイで15年,タマキガイで30年以上となった。さらに,トドロキガイはタマキガイに比べ初期の殻成長速度が大きい一方で,タマキガイはトドロキガイに比べ長期間にわたり成長速度が減衰しないことが明らかになった。このように,トドロキガイとタマキガイの殻成長様式は大きく異なっている。このことは,両種は殻形態や色彩だけでなく,殻の最大サイズや成長障害輪の間隔によっても区別することが可能であることを示唆する。このことから,トドロキガイとタマキガイは独立した別種である可能性が高いと考えられる。

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© 2016 日本貝類学会
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