2024 年 82 巻 1-4 号 p. 35-40
小笠原諸島父島沖からドレッジ採集されたフミガイ亜科のサンプルを未記載種と認めたので新種として記載する。
Centrocardita alticostata n. sp. オガサワラシロフミガイ(新種・新称)
貝殻は本属では中型,殻長は最大23.5 mm,殻径は最大21.9 mm。丸みのある亜方形,放射肋は17~20本を数える。放射肋上の衝立状突起は直角に屹立し鉄道レール断面形を呈し,40枚を数え,腹縁付近の肋間では,特に密に並ぶ。肋間は放射肋と同幅で,深く逆Ω状に窪まる。後背縁付近の放射肋は衝立状突起数が8本まで漸減し,先端は大きく杓文字状になる。殻色は白色,殻背面に不鮮明な2本の赤褐色帯がある。殻内面には左右両殻で主歯2本が認められ,左殻では小さく不明瞭な前側歯が認められる。前後に閉殻筋痕がある。白色で腹周縁先端と靭帯周辺に赤褐色彩を残す。殻頂から前背縁では整然と刻まれる。
ホロタイプ:殻長19.0 mm 殻高18.0 mm 殻厚(右殻)7.8 mm(UMUT-RM 34102)。
タイプ産地:東京都小笠原村父島西方沖,水深140 m。
分布:現在タイプ産地から離弁死殻のみ知られる。
付記:本種は近隣各種とは直角に屹立する多数の放射肋,放射肋上に密に並ぶ衝立状突起等の特徴により区別される。棘状突起を有する日本産フミガイ各種の属位は,Huber (2010)により,従来使用されていたGlansからCentrocarditaに移された。