貝類学雑誌
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フタオビザルガイの〓歯と固着殻の逆転
松隈 明彦濱田 直人スコット ポール
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1997 年 56 巻 3 号 p. 221-231

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抄録

フタオビザルガイChama pulchellaは一般には左殻で固着する小型のキクザルガイ科二枚貝である。浮遊幼生期終わりごろの殻の大きさは, 殻長0.7∿1.1 mm程度で, 原殻に近い部分には針で突いたような微細な孔が多数あり, 周縁側の部分には放射状細肋がある。オーストラリア, 珊瑚海, フィリピン産の標本を観察した結果, クィーンズランド南部フレーザー島で採集されたフタオビザルガイ16個体中15個体は左殻固着で正常な〓歯を備えていたが, 1個体は右殻固着で正常な〓歯を持っていた。これまで, キクザルガイ科二枚貝の〓歯の研究では〓歯の逆転と固着殻の逆転は常に伴っていると考えられてきたが, 〓歯の逆転と固着殻の逆転は独立に起りうることが分かった。

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© 1997 日本貝類学会
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