Veterinary Nursing
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イヌにおける腋下温測定の有用性の検討
宮田 淳嗣 今村 伸一郎
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2016 年 21 巻 2 号 p. 21-25

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抄録

直腸温測定に代わるイヌに負担の少ない体温測定法として、腋下温や鼓膜温の測定法を検討した報告がみられるが、明確な有用性を示しているとは言い難い。本研究では、200頭のイヌの直腸温と腋下温の相関を調べ、改めて腋下温測定が直腸温測定の代替法となり得るか検討した。測定時、直腸温と腋下温は同時に測定し、測定時の興奮等による影響を互いに受けないようにした。また、脈拍数と呼吸数、品種、被毛の長さ、年齢、性別、体重、BCS(Bodyconditionscore,9段階)、プローブカバーへの糞便の付着の有無を記録し、それらの影響について検討を加えた。直腸温と腋下温には明らかな正の一次相関関係が認められた。回帰直線はy=0.9676x+1.3621(r2=0.7775,p<0.001)で表され、イヌの直腸温の正常値(37.5°C~39.0°C)の範囲では、腋下温に0.15°C~0.10°Cを加えると直腸温に相当した。これは特定の品種および若齢要因を除く種々の要因から大きな影響を受けず、臨床上、腋下温測定は十分に直腸温測定の代替法となり得ることが示唆された。

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© 2016 日本動物看護学会
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