抄録
近年、日本における動物愛護および動物福祉の概念が広く浸透し、動物代替法が動物看護教育の分野でも求められているが、特に動物看護師として現場で必要なスキルとなる輸液剤投与を準備する実習のための動物代替モデルを作製した報告は少ない。そこで本研究では、安価で手に入りやすい材料で作製した輸液用動物代替モデルを用い動物看護学を学ぶ学生を対象に、その必要性と有用性について調査した。その結果、このモデルを使用することによる動物看護学教育の必要性が高いことが確認された。また、モデルとしては、旧型モデルの模擬血管の液漏れを改良することにより、改良モデルでは反復練習などが可能となった結果、学生の集中力が増した。よって、動物代替モデルを用いたシミュレーション教育は、リアリティには少し欠けるが、実際の現場と同様の手順や状況が再現されることにより、技術の習得のみならず、学習者の意識が高まり、動物看護への向き合い方にも一定の効果が認められる重要な学習方法と考えられる。